甘い誓いのくちづけを
―――――――…



「そこまで言われてるのに、何をグズグズしてるのよ!」


翌朝になっても昨日の余韻を抱えたままのあたしの異変に気付いたさゆりは、昼休みに社員食堂に移動して事情を訊き出すなり、大声でそんな事を言った。


「ちょっと、さゆりっ……!声が大きいよ!」


その場にいる人達から視線を浴びて、慌てて人差し指を唇に当てる。


「どうして自分の気持ちを告(イ)わなかったのよ!両想いなんだから、さっさと告白すれば良かったじゃない!」


「ま、まだ確信がある訳じゃ……。それに、理人さんって秘密主義みたいだから知らない事が多くて、手放しで喜べないって言うか……」


ボソボソと呟くと、さゆりが呆れたように深いため息を漏らした。


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