甘い誓いのくちづけを
「あのね、瑠花」


「はい……」


強い声音に押されて姿勢を正すと、さゆりが真剣な表情を見せた。


「不安なんてあって当たり前だし、そんなの数え出したらキリがないの。何よりも、そんな事ばっかり言ってたら、繋がるものも繋がらなくなるわよ……」


「そりゃそうだけど……」


さゆりの言葉はもっともで、あたしが知っている理人さんを信じて素直になればいいのかもしれない。


だけど…


文博の事で恋愛から遠ざかるつもりだった事や、その時に抱いていた虚しさを思い出してしまう。


臆病になり掛けた心では、そう簡単に突き進む事は出来ない。


「不安があるのはわかるよ。でも……」


さゆりはそこまで言った後、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめて優しく笑った。


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