甘い誓いのくちづけを
「それとも……早く俺に口説かれたかった、とか?」


控えめに、だけど確かな自信に満ちた声が耳元で響いて…


「……っ!」


背筋がゾクリと粟立(アワダ)ち、ピンと伸びる。


胸の奥が掴まれたような感覚に、息が止まりそうになった。


「そうだと嬉しいんだけど」


そう言ってフッと笑った理人さんは、あたしの気持ちをわかっているのかもしれない。


こんなに自信家な男性(ヒト)だなんて、知らなかった。


穏やかで、柔らかくて、優しくて。


そんな雰囲気を纏っていた理人さんは、今はどこにも感じられない。


だけど…


強引で、自信家で、どこか妖艶で。


そんな理人さんにも、胸の奥が高鳴って仕方なかった。


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