甘い誓いのくちづけを
自分の気持ちを告げたあたしに、さゆりは眉を小さく寄せて笑った。


「どうして、またマイナス思考になってるのよ……。この間の電話、結構いい感じだったんじゃないの?」


あの夜の電話の内容は、まだ曖昧にしか話していない。


だけど…


さゆりは、あたしと理人さんの間に何かあった事は感付いているみたいだから、ちっとも行動に移さないあたしの事が心配で堪らないのだと思う。


「たぶん……」


自信無く頷いたあたしに、彼女が真剣な表情を向けた。


「色々考えちゃう気持ちはわからなくはないけど、理人さんっていい男なんでしょ?」


「それは……」


それ以上は言うまでも無いと口を噤むと、さゆりが眉をキッと上げた。


「だったら、のんびりしてたら他の女に奪われるわよ!」


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