甘い誓いのくちづけを
程なくして会議の準備が終わり、フロアに戻ったけど…


理人さんの事ばかり考えて、仕事に手が付かない。


「……荻原、いつまでコピー機を占領してるつもりだ」


「へっ……?」


「さっきからずっと、そこに立っているようだが」


「あっ、すみません!」


頭上から降って来た声にハッとすると、真後ろに榊原課長が立っていた。


「コピー機がスタートを押さないと起動しないのを、お前は知らないのか?」


「い、いえ……」


「だったらさっさとコピーを済ませて、次の仕事に取り掛かれ」


「はい、すみません……」


すっかり小さくなって頭を下げたあたしに、課長は眉を寄せながらため息を落としてフロアから出て行った。


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