甘い誓いのくちづけを
『本当は、今すぐ口説きたくて堪らないんだ。瑠花ちゃんの顔が見たいし、この手で抱き締めたい』


ふと鮮明に思い出したのは、理人さんが電話の向こうで紡いだ甘やかな言葉。


まだ信じられない気持ちもあるのに、ほんの一瞬で頬がカァッと熱くなって…


『次に会った時は、全力で口説き落とすつもりだから』


次々と蘇って来る台詞にときめいた胸の奥が、キュンキュンと鳴き出した。


だけど…


こうして理人さんの事を思い出す度に、彼の事が恋しくなってしまう。


会えない時間に寂しさを感じて、甘さよりも切なさの方が勝り出す。


記憶の中の理人さんは、いつだって甘いのに…


結局は、いつも苦しい程に切なくなってしまうのだ。


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