甘い誓いのくちづけを
「適当に座ってて」


理人さんはそれだけ言い残し、リビングから出て行った。


だけど…


ソファーはあるものの、広過ぎる部屋のどこに座ればいいのかわからない上に、目の前の景色に圧倒されてその場から動けなかった。


程なくして戻って来た理人さんが、あたしの顔を覗き込んで柔らかい笑みを向けた。


「座ってて良かったのに」


いつものように笑う彼を前にした瞬間、不安にも似た感情が心の中を過ぎった。


「理人さんって……本当に何者なんですか……?」


すると、理人さんは困ったような微苦笑をフッと浮かべた後、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめた。


「別に何者でもないよ。まぁしいて言うなら、瑠花ちゃんの事を好きなただの男、かな」


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