甘い誓いのくちづけを
この部屋で、理人さんと二人きり。


それだけでも充分緊張しているのに、今はまだお風呂に入れる程の勇気なんて無い。


「せ、せめて理人さんが先に……」


「俺は後でいいから」


「でも……」


戸惑いと困惑を抱えて立ち尽くしていると、理人さんが悪戯に瞳を緩めた。


「何なら一緒に入る?」


「えっ!?」


「俺は大歓迎だけど」


「ダッ、ダメですっ!!それは絶対に無理ですっ……!」


慌てて否定すると、理人さんがクスクスと笑った。


「じゃあ、先に入っておいで」


上手く言い包(クル)められた事はわかっていたけど、何も言えなくなってしまったあたしは大人しくバスローブを受け取って、バスルームに案内して貰った――…。


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