甘い誓いのくちづけを
つまらない事で散々悩んだ末、結局は下着を着けて脱衣所を出たけど…


理人さんにバスローブ姿を見せるのが気恥ずかしくて、少しでも体を隠す為にバッグを胸元で抱えてからリビングのドアを開けた。


「ゆっくり出来た?」


あたしの姿を見た彼が微笑んだけど、その表情はすぐに苦笑に変わった。


「髪、乾かさなかったの?」


「あっ……!」


下着の事と緊張のせいで、ドライヤーの場所を教えて貰っていた事をすっかり忘れていた。


理人さんは小さく笑うと、あたしからそっとバッグを取った。


「おいで。せっかく温まったのに風邪引くといけないから、早く乾かそう」


優しく言いながら手を引いた彼に、あたしはただ付いて行く事しか出来なかった。


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