甘い誓いのくちづけを
「瑠花ちゃんの髪、綺麗だね」


「そ、そうですか……?」


大きな三面鏡越しの理人さんを視界に入れる事すら出来ないまま、何とか平静を取り戻そうと努めながら言葉を返した。


「うん、サラサラ。ずっと触っていたいくらい」


そんなあたしを余所に、彼は楽しげに髪を乾かしてくれている。


「丁寧に手入れしてるんだね」


「そんなに大した事はしてないですけど……」


緊張は再びピークを越えて、何だか居た堪れなくなっていたけど…


優しく髪に触れる理人さんの指先は、すごく心地好くて幸せだった。


それでも、あまりの緊張に涙を浮かべそうになっていた時…


「はい、出来たよ」


まるで救いの手が差し延べられるように、ドライヤーの音が止まった。


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