甘い誓いのくちづけを
「本当はね、話したい事がたくさんあるんだ」


不意にそんな事を口にした理人さんを、真っ直ぐ見つめる。


「でも……」


視界に入った表情はどこか葛藤しているように見えて、胸の奥がほんの少しだけ苦しくなった。


「やっぱり今はまだ話せない事ばかりだから、きっと瑠花の疑問に答えてあげる事は出来ない」


手の届く距離にいるのに、どこか遠くに感じる。


答えはすぐ近くにあるのかもしれないのに、それを訊く事は出来ない。


そんなもどかしさを前に唇を噛み締めると、理人さんがあたしの瞳を真っ直ぐ見つめた。


「それでも、瑠花を想う気持ちは誰にも負けないつもりだよ。だから……」


彼はそこで言葉を止めて、あたしの左頬にそっと触れた。


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