甘い誓いのくちづけを
「俺の傍にいて欲しい」


真っ直ぐで、揺るぎない。


そんな瞳を向けられながら紡がれた言葉を、拒絶する理由なんて無い。


知らない事ばかりでも、自分(アタシ)を想ってくれる心に嘘が無いんだって事は、ちゃんと伝わって来るから…。


だったら、今感じている不安はいつか消せるはず。


「さっきの約束……守って下さいね……?」


車の中で交わしたのはただの口約束だけど、きっと理人さんなら守ってくれる。


心の中は、そんな根拠の無い自信に満ちていた。


頷いた理人さんが、小さな笑みを浮かべる。


「うん、約束する。いつか必ず、全てを話すよ」


「……じゃあ、その時が来るのを待ってます」


理人さんの言葉を信じて、あたしも笑みを返した。


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