甘い誓いのくちづけを
程なくして、理人さんがフワリと微笑んだ。


その表情の意味がわからなくて小首を傾げると、彼があたしの顎を掴んだ。


ふと、時間が止まる。


理人さんの背中には、宝石箱のような夜景。


だけど…


そんなものよりもずっと綺麗な理人さんの表情に、思わず息が止まった。


「キス、してもいい?」


そんな風に訊いたのは、きっと形だけ。


次の瞬間にはもう、あたしの唇は理人さんによって塞がれていた。


一度触れ合った唇が離れて、数秒もしないうちに再び求められる。


そんな事が何度も繰り返され、甘いキスの嵐に胸の奥がキュンキュンと震えた。


あたしは、次第に深まっていくキスに身を委ねるように、瞼をそっと閉じた――…。


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