甘い誓いのくちづけを
「取引先から貰った物なんだ」


「そうだったんですか」


「正直、一人なら観る気はなかったんだけどね」


そんな事を漏らした理人さんを見つめていると、彼が幸せそうに微笑んだ。


「瑠花となら、一緒に観たいと思ったんだ」


今回の金環日食は全国で観測出来ると話題になっていて、何百年に一度のチャンスだと言われているこの日は、きっと世紀の瞬間。


その時を自分(アタシ)と過ごしたいと思ってくれたなんて、あたしは世界で一番の幸せ者なんじゃないかと思う。


そんな気持ちで理人さんに笑みを向けると、彼も微笑みながらあたしの肩を抱き寄せた。


その瞬間、心臓が跳ね上がる。


それに気を取られていたあたしを余所に、いつの間にかグラスを覗き込んでいた理人さんがフッと笑った。


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