甘い誓いのくちづけを
―――――――…



「そろそろかな」


不意に、理人さんは室内の壁掛け時計をチラリと覗いて、持っていたグラスを覗き込んだ。


「覗いてごらん」


笑顔で促されて、グラス越しに太陽を見る。


すると、ちょうどリングの形になる寸前だった。


「そのままで聞いて」


その言葉にキョトンとしながらも、とりあえず大きく頷く。


「はい」


「二度目の夜の事を覚えてる?」


脳裏に過ぎったのは、理人さんと二度目に会った夜の事。


予想だにしていなかった事が起こったあの夜は、色々な意味で衝撃的だった。


だから、わざわざ思い出すまでも無く、それは昨日の事のように鮮明に覚えている。


あたしは、もう一度大きく頷いた。


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