甘い誓いのくちづけを
「じゃあ、あの夜に俺が言った事は?」


思わず左側を見上げてキョトンとしたあたしに、理人さんがどこか困ったように苦笑を零した。


「『俺ならきっと、君に似合う最高のリングを見付け出してあげられるよ』って、言葉だよ」


衝撃的かつ意味深だったあの言葉を、理人さんに惹かれていたあたしが忘れられるはずなんて無いけど…


「もしかして忘れた?」


まさか、彼もそれを覚えているなんて思っていなかった。


「……忘れてたみたいだね」


「あっ、いえ……。でも、理人さんが覚えているとは思わなくて……」


すると、理人さんがわざとらしく眉を下げた。


「酷いね……。俺は真剣に言ったのに」


「え?」


予想外の言葉に、目を見開く事しか出来なかった。


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