甘い誓いのくちづけを
黙ったままのあたしの唇に、理人さんの唇が重なる。


今日何度目かわからないキスは、すごく温かかった。


「……それに、本当に不安なのは俺の方だよ。いつか瑠花が離れていくんじゃないかって、いつも思ってる」


自嘲気味な笑みを見せた理人さんに、胸がチクリと痛む。


「そんなの……あたしだって……」


「うん……。でも……俺の不安は、瑠花のものとは少し違うと思うから」


不安に揺れる瞳が、あたしの双眸を真っ直ぐ見つめる。


「何があっても、俺から離れないで……」


いつもの余裕の笑みを失くして呟いた理人さんは、まるで不安げな子どもみたいに見えて…


自分(アタシ)の方が不安なはずだと思う気持ちは確かにあるのに、彼を全力で守ってあげたいと思った。


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