甘い誓いのくちづけを
「で、でも……」


頬に集まる熱は、お風呂上がりのせいにしたいけど…


「ん?」


どこか悪戯に微笑む理人さんは、きっとその理由なんてお見通しに違いない。


「もう、癖になっちゃってるって言うか……」


俯きがちにしどろもどろ話すあたしに、彼がクスッと笑った。


「じゃあ、敬語はいいから、名前は呼べるようになって」


「えっと……」


顔を覗き込まれて、つい逃げるように視線を泳がせてしまう。


理人さんの事を呼び捨てにするなんて、心臓が持たないかもしれない。


「……それも難しい?」


すぐに答えを出せなくて戸惑っていると、彼が眉を寄せて笑った。


その表情はやっぱり秀麗で、益々たじろいでしまう。


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