甘い誓いのくちづけを
「あっ、あのっ……!」


「ダメだよ」


慌てて理人さんの膝の上から降りようとしたあたしの体を、彼が逃がさないとでも言うようにギュッと抱き締めた。


「いい子だから大人しくして?」


子どもを窘めるような台詞を、甘い笑顔と一緒に与えられて…


「……っ!」


単純なあたしは、戸惑いながらもつい素直に従ってしまう。


すると、理人さんは満足げな微笑みを浮かべて、あたしの額に触れるだけのキスをした。


「とりあえず呼んでみて、俺の名前」


ドキドキを通り越してバクバクと鳴っている心臓のせいで、口を開く準備すら出来ない。


「顔、真っ赤だよ。そんなに緊張する?」


そんなあたしを見ている理人さんが、心底楽しそうにクスクスと笑った。


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