甘い誓いのくちづけを
「やっぱり食べに行きますか?さすがに、材料がないと作れませんし……」


本当は、理人さんにはいつもご馳走して貰ってばかりだから、ささやかだけどお礼のつもりでもあった。


それでも、ここまで材料が無いと何も作れない。


残念な気持ちと、期待に満ちた眼差しから解放された安堵感。


その二つを抱きながら返事を待っていると、真剣な表情で考え込んでいた理人さんがニッコリと笑った。


「いや、材料を買いに行こう」


「え?」


「この時間なら、もうスーパーも開いてるだろうし」


「でも……」


「ん?」


「今から材料を買いに行って作ると、お昼頃になっちゃいますよ?」


困惑しながら理人さんを見つめると、彼がフワリと微笑んだ。


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