甘い誓いのくちづけを
あたし達の方に向かって歩いて来る女性は、理人さんの知り合いなのだろうけど…


隣を見上げると目が合った彼は、どこかバツの悪そうな顔をしていた。


その瞬間、心の中に過ぎったのは、僅かな不安。


まだ生まれたばかりのそれは小さいけど、しっかりとした存在感を主張していた。


「あら、ごめんなさい。もしかしてお邪魔しちゃったかしら?」


嫌味の無い言い方だったけど、理人さんとこの女性の間に何かあるのは瞭然(リョウゼン)で、何となくこの場にいてはいけない気がした。


「間宮さ……」


「私(ワタクシ)、間宮麗(レイ)と申します。貴島さんには、公私ともにとてもお世話になっているんです」


間宮さんは理人さんの言葉を遮り、とても上品な笑みを浮かべた。


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