甘い誓いのくちづけを
閉じようとする思考を必死に働かせ、何とか口を開く。


「どうして……黙ってたんですか……?」


“Edelstein”がどんな会社なのかなんて、企業関連の話題に疎いからわからないけど…


それでも、“専務”という肩書きを持つ理人さんは、本来なら自分(アタシ)なんかの手に届くような男性(ヒト)じゃないはず…。


「ごめん……」


短く紡がれた謝罪は、何に対してのものなのかわからない。


「でも、今からちゃんと話すから……」


理人さんに疚(ヤマ)しい事があるとは思えないし、何かしらの事情があるのかもしれない。


だから、彼自身の口から紡がれる真実を、今すぐに聞きたいと思う。


だけど…


その反面、理人さんの事を知るのが恐くなっていた。


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