甘い誓いのくちづけを
だって…


御曹司や専務である事を隠す事に、何のメリットがあったのかが全くわからないから…。


あたしには知られたくなかった、とか……?


でも、どうして……?


あたしに知られちゃいけなかった……?


色んな事がグルグルと駆け巡る頭の中で考えるのは、どうしても良くない事ばかり…。


そして…


“最初からすぐに別れるつもりだった”から……?


程なくして浮かんだ解釈は、あたしの不安を大きくした。


信じたい……


信じなきゃ……


頭では、そんな事を思う。


それなのに…


理人さんへの信頼を崩すのに一瞬の迷いも許さない程のそれは、深い鈍色の闇となって心を覆い尽くす。


その瞬間、涙が溢れ出した。


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