甘い誓いのくちづけを
いつか理人さんの口から全てを聞ける時まで、彼の事を出来るだけ詮索しないと決めた。


気になる事も、訊きたい事も、本当は数え切れないくらいたくさんあったけど…


理人さんの気持ちを信じて、その時をじっと待とうと決めていた。


それなのに…


「……っ、もう……わ、からない……っ、です……」


その決意を抱いた頃の気持ちを、今は上手く思い出せない。


だから…


今は何を聞いても、きっと信じる事なんて出来ない。


「瑠花さん、あのね……」


「ごめんなさい……」


あたしは間宮さんの言葉を小さく遮って、言い終わるよりも早く走り出した。


だけど…


「瑠花っ……!」


その直後には、手首を掴まれてしまった。


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