甘い誓いのくちづけを
理人さんの誕生日プレゼントを渡したのも、公園だった。


オフィス街のあの広い公園とこの場所は、あまりにも違い過ぎて似ているところを見付けるのも難しい。


だけど…


あの日の出来事を鮮明に思い出すには、充分過ぎる程のキッカケがあった。


あの日、あたしはどこにでもあるような木造のベンチで、理人さんの事を待っていた。


Edelsteinの本社からあの公園が近い事に気付いたのは、さっき彼のマンションに向かう為にタクシーに乗った直後の事だった。


ずっと余裕が無かったから、その時は何も考えられなかったけど…


木造のベンチを見た今、胸の奥が酷く痛んでいるにも拘わらず、確かに幸せを感じていたあの瞬間に戻りたくなってしまった。


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