甘い誓いのくちづけを
「『お節介だと思われるかもしれないし、気を遣わせてしまうかもしれない。それでも、彼女が笑ってくれるかもしれないのなら、俺に出来る事をしようと思って』」


そこまで言ってからフフッと笑った理事長の口調は、あたしが知っている男性(ヒト)によく似ていた。


「キザでしょう?彼、とても不器用なくせに、すっごくキザなのよ」


楽しそうに笑う瞳は、いつもに増して柔らかい。


空白だらけのパズルのピースが、きっと一つ埋まろうとしている。


「実は、あなたに“あの質問”をした時、ここの隣の部屋にその男性(ヒト)がいたの」


“その男性(ヒト)”が誰なのか…。


話を聞いてすぐに気付いたのは、理事長の言葉の中にあたしが知りたかった事のうちの一つがあったから…。


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