甘い誓いのくちづけを
「私があなたに質問をした事はね、つまらない意地を張っていた彼が、彼自身も気付かないうちにこだわっていた事だったのよ」


話が見えないまま、理事長の言葉に耳を傾ける。


もう少しで、見付けたばかりのパズルのピースが埋まるはずだから…。


「たまたま来ていたあなたにあんな事を訊いてみようと思ったのは、私の思い付き……と言うよりも、直感だったんだけど……」


「直感、ですか……?」


「えぇ。ここで彼と話していた時に、彼が庭で子ども達と遊んでいたあなたの事を気に掛けたの。だから、彼と……それから一緒に来ていた英二君を隣の部屋で待たせて、あなたをここへ呼んでみたのよ」


理事長から紡がれる種明かしにも似た真実に、あたしはただただ驚いてばかりだった。


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