甘い誓いのくちづけを
「こう言うのが適切なのかはわからないけど……」


より適切な言葉を探すように、ゆっくりとした口調で紡がれていく。


「私は、あなたに……あなたが持つ温もりに、懸けてみようと思ったの」


理事長は息を小さく吐いた後、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめた。


「あの頃はまだ数回しか会った事がなかったけど、あなたはとても温かい女の子だと思ったから……。もしかしたら、その温もりが意地を張った不器用な彼を少しでも変えてくれるんじゃないか、って……」


あたしの中の疑問が、ゆっくり、ゆっくりと埋まっていく。


「結果は……自分で言うのも何だけど、成功だったと思うわ」


それまで優しい笑みを浮かべていた理事長は、その頃の気持ちを表現するようにとても嬉しそうに笑った。


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