甘い誓いのくちづけを
それでも、ほんの少しだけ知りたかった事に近付けた気がした。


「私が話せるのはここまでよ。後は、あなたの大切な男性(ヒト)から聞きなさい」


後少しだけでもヒントを得ようと思っていたあたしに、英二さんと同じような事を言った理事長が意味深な笑みを浮かべた。


これ以上は踏み込むべきじゃない。


「あの……理人さんの事は、どうして……」


ただ、それだけはどうしても知りたくて尋ねてみると、理事長が一呼吸置いてから小さく笑った。


「彼の両親と私は、幼なじみなの」


「幼なじみ?」


「えぇ、そうよ。英二君と初めて会ったのは、あなたにあの質問をした日だけどね。最初にも話したけど、“知人の友人”の友人の方が英二君の事よ」


< 451 / 600 >

この作品をシェア

pagetop