甘い誓いのくちづけを
―――――――…



帰り際に理事長室に行って挨拶をすると、理事長が悪戯な笑みを浮かべた。


「お節介だと思うけど、おばさんの独り言だと思って聞いてね」


「何ですか?」


小首を傾げたあたしの耳に、一呼吸置いてから優しい声音が届いた。


「想いは言葉にしないと伝わらないのよ?例え、どんなに身近な人でもね……」


理事長の言葉に、思わず苦笑してしまう。


「英二さんにも似たような事を言われました」


そう告げると、理事長が目を小さく見開いた。


「あら、そうなの?」


「『ある人の受け売り』って言ってましたけど、もしかして理事長の事ですか?」


理事長はフッと笑っただけだったけど、たぶんそうなのだろうと思った。


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