甘い誓いのくちづけを
「まぁ、瑠花を傷付けた罰かもしれないな」


冗談とも本気とも付かない言葉に益々何も言えずにいると、文博が申し訳なさそうに笑った。


「年上なのにいつだって仕事にかまけて余裕がなくて、瑠花の気持ちをちゃんとわかってやれなかったよな……。本当に悪かった……」


頭を下げた彼に目を見開いた直後、ハッとして口を開いた。


「やめてよ!向き合えなかったのは、あたしも同じなんだから……」


少しだけ痩せた肩を押し、必死に言葉を探す。


「確かに浮気の事は許せないけど……文博の仕事が忙しい事を言い訳にしてたのは、きっとお互い様だったのよ。だから、もう顔を上げて?」


困惑しながらも何とかそう言うと、文博は顔に罪悪感を浮かべながらも頭を上げた。


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