甘い誓いのくちづけを
「とりあえず座ろうか」


「はい」


その提案に頷き、理人さんに促されてソファーに腰掛ける。


「何から話そうかな……」


それから少しして、彼がポツリと呟いた。


「英二と理事長からはどこまで聞いた?」


「どこまで、って言うか……。二人とも肝心な部分には触れない感じだったので……」


「そっか」


「ただ……」


「ん?」


「あたしと理人さんが出会う前から、理人さんはあたしの事を知ってたって……」


「なるほど……」


ほんの少しだけ気まずそうにした理人さんが、小さなため息を漏らす。


「それを知ってるって事は、大体の事は聞いてそうだね」


彼はネクタイを緩めながら、眉を寄せて自嘲気味に微笑んだ。


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