甘い誓いのくちづけを

「俺はね、養子なんだ。貴島の両親とは血が繋がってない」


告げられたのは、予想だにしていなかった言葉。


「…………え？」


それをすぐに理解出来なくて、ようやく漏らした声は掠れてしまった。


「本当の両親は、俺が生まれてすぐに事故で亡くなってるんだ」


驚くあたしを余所に、理人さんはまるで物語を読み聞かせるかのように、穏やかに語り始めた。


「家族三人で乗ってた車に、急に飛び出して来た子どもを避(ﾖ)けようとした大型トラックが突っ込んで来て、正面衝突してね……。車は大破、両親は救急車が来る前に息を引き取った。俺は母が覆い被さって守ってくれていたお陰で、幸いにも掠り傷程度だったらしいんだけど……」


彼の口調が普段とあまりにも変わらないから、余計に戸惑ってしまう。