甘い誓いのくちづけを
慌てて両手で胸元を隠そうとしたけど、手際良く作業を進める間宮さんと店員に制され、気が付けば着替えさせられていた。


「ほら、瑠花さん。鏡を見て」


鏡に映るあたしは、オフホワイトのサテンドレスに身を包んでいる。


胸元に黒いレースがあしらわれたドレープラインの膝丈のドレスは、あたしが着ても違和感が無いように思えた。


「逞、お願い」


満足げに微笑んでいた間宮さんは、フィッティングルームのドアを開けると、その前で待っていた甲斐さんを呼んだ。


「うん、ドレスはこれでいいな。後は……この間出したバラのコサージュを持って来て。カラーは……そうだな、とりあえず八番を」


彼はあたしを一目見た後、傍にいた店員に手早く指示を出した。


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