甘い誓いのくちづけを
「もう充分だよ、瑠花ちゃん」


穏やかな声音が耳に届き、優しげな瞳が緩められる。


「君の気持ちはよくわかったから。それより、そろそろパーティーが始まるから行こう」


英二さんは柔らかく微笑んで、あたしをパーティー会場に促した。


会場には既にたくさんの人がいて、立食式になっている。


テレビでしか観た事の無い光景に呆然としていると、英二さんがあたしの背中をポンと叩いた。


「そんなに緊張する事ないよ」


「でも……あたし、浮いてませんか……?」


「大丈夫、誰よりも可愛いから」


「また、そんな冗談……」


「本当だよ。でもあんまり言うと、また理人に怒られるかな」


冗談めかして笑った英二さんのお陰で、少しだけ緊張が解れた。


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