甘い誓いのくちづけを
「理人さん」


「ん?」


首を僅かに傾げた理人さんに、小さな笑みを向ける。


「出会ったあの日のキールに理人さんの想いが込められていたと思うのは、あたしの自惚れなんかじゃないって思ってもいいですか?」


すると、彼がフワリと微笑んで、ワイングラスに手を伸ばした。


「……あのキールには毒を仕込んでおいたんだ」


「毒……?」


「瑠花が俺を好きになってくれる毒。しかも、永遠に解毒出来ないくらいに強い物を……」


そんな素敵な毒なら、どのみちあたしは自ら望んで飲んでいたに違いない。


「あの夜の出会いは、“最高のめぐり逢い”になった?」


「はい」


そんなあたしに投げ掛けられた質問には迷わずに大きく頷いて、それから満面に笑みを浮かべた。


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