甘い誓いのくちづけを
パーティー会場でも口にしたカクテルで乾杯をして、理人さんが再び同じ物を注文してくれた。


そして、夜景をゆっくりと堪能しながらお互いに二杯目のカクテルを飲み終えた頃、彼が腕時計に視線を落とした。


「そろそろ部屋に戻ろうか」


「はい」


いつの間にか会計を済ませてくれていた理人さんと店を出て、エレベーターに乗り込む。


そこで財布を出そうとしたら柔らかい笑みで制されて、結局はいつものようにお礼を言った。


最上階のフロアにはバーや婚礼専用のパーティー会場しか無いらしく、あたし達を乗せたエレベーターは下へ向かう。


あっという間に二階分のフロアを過ぎて着いたのは、このホテルの宿泊フロアの中では最上階に当たる場所だと、エレベーターを下りたところで理人さんが教えてくれた。


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