甘い誓いのくちづけを
理人さんはあたしの額にそっとキスを落とした後、どこからか取り出した華奢な箱を開けた。


同時に視界に入って来たのは、ネックレス。


「薔薇……?」


その先端に着いているピンクの宝石が薔薇のように見えてそう呟くと、理人さんがとても嬉しそうに笑った。


「うん、よくわかったね。ピンクの薔薇の花言葉は“温かい心”だって知って、瑠花にピッタリだと思ったんだ」


その言葉で、部屋にちりばめられたピンクの薔薇の意味を理解する。


「だから……」


あたしはきっと、理人さんが思ってくれている程の温もりを持っている訳じゃない。


「瑠花の誕生日には、ピンクの薔薇に因んだ物をプレゼントしたかったんだ」


それでも、彼の言葉が本当に嬉しかった。


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