甘い誓いのくちづけを
―――――――…



優しい温もりに包まれながら重怠い瞼をゆっくりと開けると、ぼんやりとした視界に映ったのは綺麗な顔。


前にもこんな事があったな、なんて思っていると、額に優しいキスが落とされた。


「ハッピーバースデー、瑠花」


昨夜の事を思い出して抱いた恥ずかしさとくすぐったさよりも勝った幸せが、ごく自然と柔らかい笑みを作る。


「それと、おはよう」


「おはようございます」


「よく眠れた?」


「はい。理人さんは眠れましたか?」


「残念ながら……。瑠花の寝顔が可愛過ぎて、ちっとも眠れなかったよ」


「えっ……?」


冗談とも本気とも付かない台詞に心臓が跳ね上がった直後、理人さんが心底楽しげに喉の奥でクッと笑った。


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