甘い誓いのくちづけを
逃げる暇も無くバスルームに連れ込まれたあたしは、タイルに付けた足が震えている事に気付いて…


「ごめん。また、無理させ過ぎたかな?」


申し訳なさそうにしながらも楽しげに笑う理人さんに、顔を真っ赤にする事しか出来なかった。


「お詫びに洗ってあげるよ」


「大丈夫ですから、理人さんはご自分の体を洗って下さい!」


「俺は朝方にシャワーを浴びたから、大丈夫だよ」


爽やかな笑顔でしれっと言い放った理人さんに、目を小さく見開きながら絶句してしまう。


「遠慮しないで。ね?」


「いえ!本当に大丈夫ですから!」


半ば強引に理人さんを泡塗(マミ)れのバスタブに押し込み、くれぐれもあたしの方を見ないようにと念押しをして、何とか髪と体を洗った。


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