甘い誓いのくちづけを
「皆、ちょっと待ってね。先に理事長先生にご挨拶したいから」


「えーっ!!」


「嫌だぁ!瑠花ちゃんと理事長先生のお話、長いんだもん!」


「そうだよー!」


子ども達にせがまれて苦笑すると、傍にいた先生が両手をパンパンと叩いた。


「ほらほら、瑠花ちゃんを困らせちゃダメよ」


「瑠花ちゃん、ここは大丈夫だから行って」


「すみません」


子ども達からのブーイングを受けながらも、その場にいた先生達が助け船を出してくれたお陰で部屋から出る事が出来た。


それから施設の玄関の方へと踵を返し、子ども達の絵が掛けられた廊下を抜けた先にある理事長室のドアをノックした。


「はい」


その直後、穏やかで優しい声が中から届いた。


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