甘い誓いのくちづけを
―――――――…



午前中のミスを挽回する勢いで業務を熟したお陰で、滞っていた書類のチェックを全て終わらせる事が出来た。


ただ…


帰り際に目が合った課長の視線がいつも以上に冷たく思えて、身が竦(スク)むような思いですごすごと退社した。


そんなあたしを余所に、さゆりは何故かずっと楽しげにしていて…


「さて、覚悟しなさいよ。じっくり聞かせて貰うわよ〜!」


チェーン店の居酒屋に着いてテーブル席に案内されると、メニューを開くよりも早くそんな事を口にした。


「別に、楽しみにして貰うような話じゃないよ……」


「あんな意味深な事言われたら、誰だって気になるわよ」


さゆりの期待を裏切らないように釘を刺したけど、彼女は上機嫌でメニューに視線を落とした。


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