やせっぽちの愛　～慟哭！～
「手を握ったか？」
「キスぐらい、したよな？」
「まさか、ホテルになんか……」

もう、大変でした。根掘り葉掘り聞かれて、
「何もなかった、手も握ってないんだから。」

何度言っても、信用してくれませんでした。
布団に入ったのは、明け方近くでした。

君はどうだったろうか？　
怒られませんでしたか？　
すごく心配です。

翌日は、一日中ボーッとしてました。
雨でした、涙雨ですか？　
君が降らせた雨ですか？

白虎隊のお墓に行きました。
ガイドさんが、一生懸命説明してくれていました。
ごめんなさい。
全然、頭に入りません。

細かい 糸を引くような雨でした。
でもね、ちっとも寒くない。
体がポカポカと火照っているんです。

君のお陰です。
君の言葉が、僕を暖めてくれてるんです。
『ステキな彼氏がいるの！』

突然、雨が止みました。
振り向くと、クラスの女の子が 傘を差してくれていました。

「濡れるよ。」
「ありがとう。
でも、いいんだ。」
そしたらね、意味ありげに、その子笑ってるんだ。

「入れてもらえ。
お前、風邪を惹いてるんだろが！」

先生のひと言で、その子の傘に入れてもらうことになりました。
ごめんね、でも浮気じゃないよ。

バスに戻るまでの道すがら、びっくりの言葉を聞かされたんだよ。

「夕べは、お楽しみだったわね。」
「えっ！　どういうこと…」

「電停に座ってたでしょ？　女子と二人で。」
「ど、どうして、それを…」
「だってさ、私たちの泊まってたホテルの前だったモン。」

そう言えば、ホテルがあったよね。
まさか女子の宿泊ホテルだったとは……。
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