Girl's? collection 1
「あ。」
「あ・・・」
すぐに目が合って、サヨは無言で隣の席を指差した。
座れということだろうか。
示されるまま隣に座る。
「珍しい。ナオが来るの。」
「今はナオキだけどな。」
いつも通りボーッとした瞳。長い三編みを見ると、毎日大変じゃないのだろうかと思ってしまう。
「ぅん?」
それを見ていたのかサヨは首を傾ける。不覚にもその仕草がかわいいと思ってしまった。
それを自覚した時、一気に恥ずかしくなった。
「あっ・・・いや、その・・・髪大変じゃないのか?!」
ああ、これ?とサヨが2本のうちの1つをつまんだ。
「別になれたから。平気だよ。ナオにもしようか?」
どうやら正体がばれてもサヨはオレのことをナオと呼ぶらしい。
「いいよ。遠慮する。これ以上部活のメンバーに変態呼ばわりされたくないし。」
「ふふっ・・・。」
オレの冗談に笑う彼女。
「でもそうだね。私がナオを可愛くしたら、きっとハルカがヤキモチ妬く。」
「??」
「ナオをきれいにするのはハルカの特権だから。」
「へ、へぇ。」
サヨの言いたいことがいまいちわからない。
そんなオレを見てサヨはまた笑う。
「さすが、天然記念物。こりゃー葉月高校のチョウセンアカシジミだね。」
「いや、わけわからん。特に最後の単語が。」
※【チョウセンアカシジミ】とは実際に存在する天然記念物です。
「まぁ、私はハルカもユズも応援してるよー。」
「は?」
彼女はまた笑った。