Girl's? collection 1
そりゃそうだ。
再婚相手の【お母さん】は自分のことが嫌いだった。あたしも嫌いだった。
それで夫婦仲にも亀裂が走った。
――ガシャン
「やめて、痛い」
ある日、あの人は窓のガラスを割って、その欠片にあたしの手を擦り付けた。
10分くらい経って我に返ったあの人は自分に謝った。
それからは殴られるのなんていつものことで。
ハンドミキサーの中に手を突っ込まれそうになったり、包丁を突き付けられたり。
1番怖かったのは、あの人がヤカンを持って熱湯を自分の耳の穴に注ぎ入れようとした時だった。
「やめて!ごめんなさいごめんなさい!いゃ、ぃゃいゃぁぁあああああああ!!」
羽交い締めされて、どんなに叫んでも、泣いても、わめいても、誰も助けてくれなかった。
結局その日は【お母さん】が早く帰ってきたことで助かった。
それから、自分は耳をふさいでないと怖くなった。あの人がまた同じことをするんじゃないかって。