Girl's? collection 1
ユズは笑っている。笑ってるけど目は笑ってない。
オレはどうにかしようと考えるが何も思いつかず、ただ焦っていた。
「はい、これ。」
ようやく笑いがおさまった彼女は1枚の紙を渡した。
退部届
「準備早ぇな。ったく。」
自嘲気味に話す。
「当たり前だし。あたしあんたみたいな男、嫌いだから。」
「なるほどお前男嫌いなわけか。」
「わかったらここにサインして。」
少しイラついた声でユズは言った。
「無理」
オレは素直にそう言う。
「はぁ」
「いや、だってそもそもオレがこの部活入ったのだってそんな感じの脅しだし。今さら脅されたって怖くねぇよ。ま、もしバラされたとしてもハルカがなんとかするだろ。」
そうだ。もしオレに何かあってもハルカが放っておくはずがない。
ガラッ
「その通り!こんな逸材手放したりなんかしないわ。」
よく通る声。
振り向かなくてもわかる。
「部長・・・。」
「ユズ・・・黙っててゴメン。それは謝る。けど私はこの人を退部させる気はないの。」
頭を下げて謝るハルカ。
それを見たユズは小さく舌打ちして部屋を出ていった。
数日たっても妙な噂が流れることはなかった。