金持ち女VS貧乏男
『お前、あの後大丈夫だったのか?』

大丈夫って?

『何が?』

『いやぁ、だってお前、570円しか持ってなかっただろ? あの後ちゃんと飯食えたか?』


ん?ははぁ~ん。
やっと彼の言ってる意味が、わかった。
私の事、貧乏だと思ってたのね。

『私、貧乏じゃないよ』

誰がお前なんかと同じ世界の住人なもんか!


『貧乏になりたての奴は最初みんなそう言うんだ。隠す事ねぇよ。貧乏はなんも恥ずかしい事じゃないんだから』


別に隠してねぇよ。

『だから私は―――』

『いゃぁ、しかしもったいねぇよなぁ。まだ食えるのに捨てるなんてよぉ』


私の言葉をさえぎり、勝手に喋っている…


だいたい570円が全財産なわけねぇだろ!


んなの、あんたくらいだよ!
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