金持ち女ＶＳ貧乏男

第四章 クリスマスイブ

『いらっしゃいませ、加藤様』

軽く頭を下げると婦人は
『こんにちは直美さん』
と、笑顔で挨拶をしてきた。


加藤さんは、もう６０歳になるが、とてもそんな歳には見えない。

どうみても５０代前半にしか見えない。


『あら、今日は旦那様はどうなされたんですか？』

加藤夫人はいつも旦那さんと一緒にくるのだが、今日は１人なので、つい聞いてしまった。


『主人、甘い物が好きでしょ？とうとう糖尿病になってしまったのよ』


何て言ったらいいのか、私は言葉に詰まってしまった。そしてそんな私を気遣うように夫人は笑顔で話し始めた。


『主人なら大丈夫。病院で、お友達が出来て私と居るより楽しそうなのよ』


私が見る限り、婦人と旦那さんは、とても仲の良い夫婦に見えた。

いつも一緒で、ニコニコしてて。


その姿は誰もが、歳をとっても、こうありたいと願う見本のような夫婦だった。
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