今さらなのよ!
隆祐からの返事は何もなかった。
実家へと走って帰ると、かすみの両親は大喜びだったが、かすみは涙がとまらなくなった。
何かわけがあるに違いない・・・。両親にもそう言われ、かすみもそう思ってはいるが、だったらどうして?
どうして姿を消して、呼びかけにも答えてくれないのだろう?
その頃隆祐は、会社の同僚の平林宏道と山深い昔の観光地へ出張していた。
「うへぇーーー!自然がいっぱいといっても人の手が入らなきゃ10年足らずでこんなひどくなるんだなぁ。」
平林が山小屋のまわりに生い茂った草や細木を払いながら嘆いていた。
隆祐は平林の様子をチラと見てから、鎌やナタを手に取ると力いっぱいブーメランのように投げ、両手を天へかざして操り始めた。
山小屋周辺のからみついた草も木もそぎ落とされてきれいになっていく。
「躊躇せずに力を見せてくれるんだな。」
平林がにんまり笑ってそう言うと、隆祐は笑顔で
「こんな俺をずっと見守ってきたヤツに、もう隠し事はなくてもいいだろう。
ここでの仕事もおまえが上にかけあって俺にまかせることにしたのも知っているからな。」
「そっか・・・もうバレていたんだな。
俺はおまえがふつうの人間でも、同じことをしていたと思う。
っていうか、ふつうの人間でいてほしかったっていうのも本音だ。
俺はこの星の住人であり、おまえの故郷の人たちの血もひいている。
特殊能力なんて気の利いたものはありゃしないけどな。」
「どうして、俺に近づこうと思ったのかだけ教えてくれないか?」
「そんなこと訊くなんておまえもまだまだ半人前だな。」
「なんだと!」