今さらなのよ!
自分の置かれていた環境が、自分を守ってくれる場所であったことがわかったこともあって、隆祐は仕事を終えると久しぶりに穏やかな夜過ごすことができた。
(静かだな。都会の飲み屋が立ち並んでるわけでもなく、闇の中で戦ってるわけでもない。
つかの間の休息ってわけでもない。
これから当分、満天の星を堪能できるんだよな。
このすばらしい星空をかすみちゃんにも見せてやりたいよ~~って。
バカだな・・・俺は。
まきこみたくないなんてカッコつけて出てきたのに、さびしいなんてな。)
外から山小屋風の社宅の一室へ隆祐がもどると、机に置きっぱなしにしておいた携帯電話が鳴っていた。
「はい、山野辺です。」
「意識をとばしても無反応だから、心配したよ。」
「あ、ああ・・・セイナか。すまないな・・・かすみちゃんに危険が及ばないようにするにはこうするしかしょうがなくてさ。」
「そ、そのかすみがいなくなった。」
「えっ、誰かにさらわれのか?」
「それはこっちのセリフだ!
王子ならかすみちゃんとコンタクトとれるだろうと思って電話したのに。」
「あ・・・ってことは、君の力でもかすみちゃんのことはわからなかってことなのか?」
「そうだ。王子が失踪したときいて、かすみに交際を申し込みにいったのに、自宅にも実家にもいなくて、大騒ぎだった。」
「くっ・・・わかった。ちょっと集中してさがしてみるからいったんきるよ。
何かわかったら連絡するから・・・。」